マンション売却の際に受け取れるお金は、売却代金だけではありません。マンション売却に伴って戻ってくる費用もあります。ただし中には、申請などの手続きをしなければ、受け取れないものもあります。損しないためにも、事前に一通り把握しておきましょう。
マンション売却で戻ってくる費用は?
マンション売却においては、先に支払っていた費用の一部が戻ってくるものがあります。返金や精算などの手続きを行って、きちんと受け取りましょう。
マンション売却で戻ってくる費用は、主に次の4つです。
- 住宅ローン保証料
- 火災保険料
- 管理費や修繕積立金
- 固定資産税や都市計画税
続いての項で、一つずつ内容と手続きについて見てみましょう。
戻ってくる費用を一つずつ解説
マンション売却で戻ってくる費用を、一つずつ詳しく見てみましょう。
住宅ローン保証料
まず、マンション売却に伴って戻ってくる費用として知っておきたいのが、「住宅ローン保証料」です。
住宅ローンを利用してマンションを購入する際、基本的には保証契約を結びます。マンション購入のためのローンは金額が大きいため、返済が長期間に渡ることがほとんどです。万が一返済が滞った場合のために、金融機関は保証契約を前提としているのです。
保証契約にあたっては、住宅ローン保証料を支払います。支払う方法は、「一括前払い型」「分割後払い型」の2種類あります。いずれの場合も、決まった額の保証料を支払うかわりに、万が一の場合は保証会社が負債を肩代わりしてくれる仕組みになっています。
繰り返しになりますが、住宅ローン保証料はローンの残額が支払えなくなったときのために支払うお金です。マンション売却の際には、住宅ローンの残金をすべて返済するため、金融機関にとって貸し倒れのリスクはなくなります。つまり、保証の必要はなくなるということです。
そのため、住宅ローン保証料を購入時に一括前払いした場合は、残りの保証期間に応じて支払った住宅ローン保証料の一部が返金されます。具体的にいくら戻ってくるかは、金融機関によって異なります。詳しくは窓口で確認しましょう。
なお、住宅ローン保証料の返金手続きは、基本的には抵当権抹消の手続きと一緒に行われます。抵当権抹消とは、金融機関から住宅ローンを借りる際に設定した「抵当権」を抹消するための手続きです。住宅ローンを全額返済すると、金融機関から抵当権抹消に関する案内があります。案内に沿って手続きを進めましょう。
住宅ローン保証料の返金は、住宅ローンを全額返金すると、一連の流れの中で手続きを行います。そのため、うっかり手続きを忘れるということはありませんが、住宅ローン保証料が戻ってくることを、頭に入れておくといいでしょう。
火災保険料(や地震保険料)
次に、マンション売却に際して戻ってくる費用として知っておきたいのが、「火災保険料」です。
住宅ローンを組んでマンションを購入する場合、金融機関が火災保険への加入を義務づけているケースがほとんどです。火災保険への加入期間は、ローンを組んでいる期間と同等の長さを求められます。たとえば35年ローンを組んだ場合、基本的には35年の長期一括で火災保険料を支払います。
途中でマンションを売却する場合、火災保険料を払いすぎていることになります。そのため、残りの期間の火災保険料が保険会社から戻ってくるのです。
具体的にどれだけの金額が戻ってくるかは、契約している保険会社や契約の内容によって異なります。どのような火災保険に加入したのか、まずは確認してみましょう。
なお、火災保険料の返金に関して注意すべきことがあります。それは、請求しなければ火災保険料は戻ってこないという点です。
マンションを売却しても、保険会社はその事実を知る手立てがありません。マンション売却に伴って火災保険を解約したい旨を、保険会社に連絡しましょう。
火災保険の契約書は多くの場合、マンションを購入した際の売買契約などの書類の中に、一緒に保管されています。契約内容を確認した上で、忘れずに手続きを行いましょう。
管理費や修繕積立金
続いて、マンション売却に伴って戻ってくる費用として挙げられるのが、「管理費や修繕積立金」です。
マンションを購入したら、管理費や修繕費を月々払います。基本的に支払いのタイミングは「前払い」です。翌月分を前月に支払ったり、数か月分まとめて前もって支払ったりするケースが多いです。
前払いするということは、買主が入居した後の分まで、すでに売主が支払っているケースが存在するということです。そのため払い過ぎた分は、日割り計算をして、売却時に返金してもらうことができます。
一般的には、売主自らが手続きをする必要はありません。売主に代わって不動産会社が費用を計算し、買主に請求します。ただし、管理費や修繕積立金が返ってくるという点は、頭に入れておくといいでしょう。
固定資産税や都市計画税
最後に、マンション売却に伴って戻ってくる費用として把握しておきたいのが、「固定資産税や都市計画税」です。
固定資産税や都市計画税は、その年の1月1日時点での持ち主に納税義務が発生します。そのため、マンション売却によって年度の途中で所有者が変わっても、1月1日現在の所有者である売主に対して納税通知書が届くことになります。
マンション売却後の期間に関しては、次の所有者である買主が固定資産税を納めるべきです。そのため、引き渡し以降の期間に対してかかる固定資産税や都市計画税は、買主から受け取ることになります。
売主と買主の間で、どのように負担するかについては、法律による定めはありません。不動産会社が仲介役となって、両者の負担を決めることが多く、日割り計算するのが一般的です。
基本的には不動産会社が計算をしてくれるため、面倒な申請や手続きをする必要はありません。ただし、払い過ぎた固定資産税や都市計画税が戻ってくることは頭に入れておきましょう。
まとめ
マンションを売却した場合、どのようなお金が戻ってくるのか、イメージできたことでしょう。マンションの売却代金と比べると、戻ってくる費用は金額としては小さいため、手続きを後回しにするケースもあります。
ただしマンション売却に際しては、仲介手数料をはじめ、各種税金や登記費用、司法書士への支払いなど、支払いが必要な費用もいろいろあります。場合によってはリフォーム費用やハウスクリーニング費用もかかり、高額な支払いになる可能性もあります。詳しくは別記事(「マンション売却にかかる費用のすべて」)で解説しています。
後から思わぬ出費で焦らなくてもいいよう、まずは「支払うべき費用」「戻ってくる費用」などについて、しっかり知識を得ておきましょう。その上で、戻ってくる費用に関しては、きちんと必要な手続きをすることをおすすめします。