賃貸か?売却か?必ず知っておくべき賃貸のリスク

投稿日:2018年8月7日 更新日:

愛着を持って住んでいたマンションでも、転勤や転職、あるいは家族構成の変化によって、購入当初は予期していなかった売却を検討しなければならないことがあります。

「希望する価格で売却できないなら、賃貸にした方が得では?」

副業や副収入にも注目が集まる中、こう考える人が多くいます。実際に、自分が住まなくなったマンションを賃貸にだして、不動産収入を得ている人もいます。

ここでは、中古マンションの売却を検討しつつも賃貸も気になる人のために、賃貸のメリットとデメリットを説明します。

ライフプランに合わせて計画を立てる

具体的な説明に入る前に、売却と賃貸、どちらが得かは経済的な側面だけでは判断できない場合があることを知っておいてください。

転勤などでいずれ戻って来ることがわかっており、住み慣れた場所に住宅を確保しておきたい場合などがそうです。

単純に利益だけで判断すると、後悔することになりかねません。売却か賃貸のどちらが得かを考える前に、ライフプランを明確にしておきましょう。

ライフプランを明確にしたうえで、住まなくなったマンションは、

・売却する
・賃貸物件として所有する(タイミングを見て売却)
・将来、再び自宅にするまで賃貸にする

という選択肢を検討することになります。

すぐに売却するのでなければ、賃貸のメリットとあわせてデメリットを知っておかなければなりません。

賃貸最大のメリットは毎月の固定収入

マンションを賃貸にした場合、次のメリットがあります。

1. 家賃収入が得られる
家賃収入によって毎月一定の収入が得られることは、所有するマンションを賃貸にする最大のメリットです。特に、定年退職して賃貸物件を管理する余裕ができ、年金のプラスとなる収入が欲しい人にとって、家賃収入は大きな魅力です。

なかでも、分譲用マンションを賃貸に出すことは「分譲貸し」と呼ばれ、最初から賃貸用に作られた物件より高い賃料を期待することができます。これは分譲マンションの設備や造作が、賃貸用のマンションよりも優れているためです。

2. 経費として扱える費用が増える
家賃は不動産所得として扱われるため、維持にかかる諸費用を経費として計上することができます。具体的には、住宅ローン金利、固定資産税、管理費、修繕積立金、減価償却費、改装費用などです。経費として計上し、家賃収入から相殺することで、その分税金をおさえることができます。

賃貸のデメリットは空室リスクと予期できない出費

一方で、マンションを賃貸する場合、以下のデメリットが生じます。

1. 空室リスク
マンションを賃貸にした場合の最大のデメリットは、収入がゼロとなる「空室リスク」です。

中古マンションは借り手市場で、よほど良い立地でもない限り、常に借り手がいる状態を保つのは困難です。逆に言えば、必ず空室期間が存在することを前提に考えなければいけないということです。

住宅ローンを抱えている状態で借り手が見つからなければ、家賃収入がないにもかかわらず、毎月の返済や維持にお金がかかります。

借り手が見つかるまでは、支出が続くことを覚悟しておかなければなりません。

2. リフォームや修理、管理のための出費
賃貸では、借り手が入れ替わるたびにリフォームやクリーニングが必要となり、時には予期せぬ修繕費がかかることもあります。大型設備などは大家負担のものも多く、年数がたつほど修理にかかる費用は増える傾向にあります。

中古マンションは年々増加しており、古くなった物件に新しい借り手を見つけるのは難しくなっています。

管理会社に委託して借り手を見つけてもらう場合でも、維持や管理にはそれなりの費用を投じ、物件を魅力的に保つことが必要になります。

3. 家賃は下落していく
どんなに良い物件でも、建物の価値は年々下がっていきます。建物だけでなく、マンションに備わっている施設も老朽化していきます。借り手が見つからなければ、築年数に合わせて賃料も下げることになります。

4. 新しい住宅ローンは組めない
所有するマンションの住宅ローンの返済が完了していなければ、新たに住宅ローンを組むのが困難なことが多くあります。新居購入のためにローンを組みたいのであれば、これまで所有していたマンションを賃貸にすることは得策ではありません。

5. 売却時のリスク
貸しているマンションを売却する際は、賃貸によって収入を得る「収益物件」として扱われることになります。そうすると、住居として使用していたマンションの売却とは異なり、買い手となるのはプロの不動産関係者です。

売却の際は、そのマンションがどれほどの利益を生み出すかという視点で査定されるため、買い主が納得すれば交渉が成立する個人間の売買に比べて、評価は厳しくなりがちです。

また、これまで自分が住んでいたマンションの売買であれば、一定条件を満たせば、売却額のうち、最高3,000万円まで税金が控除されます。一方で賃貸にしていたマンションを売却する場合は、控除の対象となるのは貸してから3年目の年末までです。

将来戻ってくるまでの期間だけ賃貸にだすのであれば

将来戻ってくるのは確かなので、それまでの間だけ賃貸にだそうという人は気をつけなければいけないことがあります。

それは、通常の賃貸では、大家側の都合で自由に借り手を退去させられないということです。

大家に比べて立場の弱い借り手は、借地借家法という法律で保護されており、大家側の一方的な都合で賃貸契約を終わらせることができないようになっています。

期間を限定して貸し出すためには、契約の更新がなく、一定期間が経過すると必ず契約が終了する「定期借家契約」という特別な契約を利用することになります。

定期借家契約では、大家側が3年や5年といった契約期間を自由に設定することができます。

一見、使い勝手のよさそうな契約にみえますが、借り手からすると、一定期間後に必ず引越ししなけれなならないため、決して良い条件ではありません。

周辺相場に比べて家賃を落とすなどの工夫をしない限り、借り手をつかまえるのは難しくなります。

最大のメリットである家賃収入が少なくなり、最大のデメリットである空室リスクも高くなるわけです。

判断に迷った時、考慮すべき点

以上のメリットとデメリットを考慮しても、まだどちらが良いのか決められない、という場合は、次のことも考えてみましょう。

1. 大家として不動産経営をする覚悟
たとえマンションの1室でも、借り手と契約した時点であなたは不動産経営者となります。家賃の徴収や物件の維持管理、税金の支払いなど、自宅としてマンションを所有していた時とはちがう手間や時間がかかります。

借り主がどんな人かは、住み始めるまでわからないこともたくさんあります。諸々のトラブルに対応する余裕があるのかも考えてみましょう。

2. 今後の売買や賃貸の動向
都心の一部などでは高い需要があるものの、全国的に中古マンションの需要は下がりつつあります。

低金利が続く間は新築マンションの人気は高く、また、単身世帯の増加を背景にファミリー向けマンションから単身者用マンションに需要は移りつつあります。

駅から徒歩10分以上かかるようなマンションや、耐震基準が古い時期のもの、戸数が少なく修繕費や管理費の割高なマンションなどは、売りたくも売れない状態になることが考えられます。

まとめ

最も大切なことは、不動産経営することの自覚もなく、安易に、賃貸にだすことは避けることです。

甘い考えで賃貸に挑み、失敗した人たちはたくさんいます。テレビや雑誌で不動産経営の成功談をみることがありますが、中途半端な気持ちで挑んで成功できるものではありません。

人気のある駅の徒歩10分圏内のマンションや、管理が行き届いていて入居希望者が多いといったマンションでもない限り、将来戻ってくるまでの期間だけ賃したいといった人を除き、売却するのが賢明です。





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