マンションの売却には、不動産会社による仲介の他、業者による「買取」もあります。
事情があってマンションをすぐに現金化したい場合には便利ですが、売却金額が相場より3~4割程度下がることを覚悟しなければいけません。
今回は、業者買取のメリットとデメリットについて詳しく解説します。
マンション売却は「仲介」「買取」の2種類
マンション売却の方法には、大きく分けて次の2つがあります。
・不動産会社による「仲介」
・業者による「買取」
近年、業者によるマンション買取が増加しています。インターネット上でも、不動産買取を専門に活動する業者が増えました。マンション売却に際して、仲介か買取かで迷っている方も多いのではないでしょうか?
一般的な仲介と買取のどちらが得なのでしょうか?
買取に出すことで、損をするリスクはないのでしょうか?
マンションの買取には、メリットとデメリットがあります。後悔しないためにも、慎重に決めることが重要です。
マンションの買取とは?
マンションの買取とは、買取業者がマンションを買い取って、売りに出す方法です。買取業者によって事情は異なりますが、マンションの買取には、次の2種類があります。
1. 買取保証
まずは、買取保証について。売却期限までに、少し余裕がある場合に適した買取方法です。
買取保証とはその名の通り、買取保証がついたタイプのマンション売却です。一定期間、売却活動を行っても契約が成立しなかった場合、事前に約束した価格で業者がマンションを買い取ります。
2. 即時買取
続いて、即時買取について。何らかの事情で、すぐに売却したい場合に適した買取方法です。
即時買取もその名の通り、すぐ買い取るタイプのものです。ただし買取保証と比べて、買取金額が下がる傾向があることは頭に入れておく必要があるでしょう。
マンション買取のメリット
では続いて、マンション買取を選んだ際のメリットを見てみましょう。一つずつ詳しく紹介します。
1. 短期間で売却できる
マンション買取のメリットは、何といっても「短期間で売却できる」という点にあります。
たとえば、急な転勤で引っ越しを余儀なくされた場合や、離婚が決まってすみやかにマンションを売りたい場合など。即時買取を希望すれば、通常の売却活動を経ることなく、すぐにマンション売却が可能です。
事情があって売り急いでいる方にとっては、短期間で売却できることは、大きなメリットと言えます。
2. 早い段階で現金化が望める
マンション買取のメリットとして次に挙げられるのが、「早い段階で現金化が望める」という点です。
一般的な仲介によるマンション売却の場合、買主が見つかって契約が成立します。買主が見つかるのに時間がかかればかかるほど、現金が手元に入るまでの時間がかかります。
買取であれば、すぐにマンション売却が可能です。売却に伴ってマンションを現金化することができます。手元に急いで資金を用意したい方にとっては、大きなメリットと言えます。
3. 瑕疵担保責任が免除される
次に、マンション買取のメリットとして知っておきたいのが、「瑕疵担保責任が免除される」という点です。
不動産業者の仲介で第三者にマンションを売却した場合、売主は基本的に「瑕疵担保」という責任を負うことになります。
瑕疵担保責任の「瑕疵」とは、「欠陥」という意味です。売却後に、何らかの欠陥や不具合が発覚したとしましょう。一定期間内であれば、修繕の義務は売主にあります。これを「瑕疵担保責任」といいます。
欠陥の一例として挙げられるのが、天井からの雨漏りやシロアリによる被害など。売却時点で売主が知らなかったとしても、瑕疵担保責任に問われます。そのため、必要な修繕費を負担する必要があるのです。
ところが買取の場合、売主の瑕疵担保責任は免除されます。後からの面倒なトラブルが回避でき、予想外の出費リスクをなくせるという点は、売主にとってメリットと言えます。
4. 仲介手数料がかからない
マンション買取のメリット、次は「仲介手数料がかからない」という点です。
不動産会社の仲介でマンションを売却した場合、基本的には所定の仲介手数料がかかります。
ところが買取の場合は、マンションを直接業者に売ります。仲介を必要としないため、仲介手数料は発生しません。つまり、仲介手数料を節約できるというわけです。
ただし近年では弊社のように、仲介手数料の値引きや無料を打ち出す不動産会社も増えています。仲介手数料の負担を減らすなら、企業努力によって仲介手数料の負担を減らしている不動産会社を選ぶのも、一つの手段です。
5.リフォーム費用がかからない
マンション買取のメリットのうち、「リフォーム費用がかからない」という点も、節約につながる意味でメリットです。
マンションを売却する際、必要に応じて売主がリフォームを行います。水回りなどの大がかりな工事であれば、数百万という単位で費用が発生します。壁紙の貼り替えなどでも、数十万円程度の費用がかかります。
ところが買取であれば、必要なリフォームは買取業者が行います。売主はリフォーム費用をかける必要がないため、リフォーム費用を節約することができるのです。
とはいっても、マンション売却においてリフォームは必須ではありません。むしろリフォームすることで売却金額が跳ね上がり、売れにくくなるケースも存在します。
仲介でマンションを売る場合も、リフォームが必要かどうかは慎重に判断しましょう。詳しくは別記事にまとめていますので、ご覧ください。
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6. 購入希望者の内覧をたくさん受ける必要がない
次にマンション買取のメリットとして挙げられるのが、「購入希望者の内覧をたくさん受ける必要がない」という点です。
不動産会社の仲介で買主を探す場合、購入希望者が決まるまで、何度も内覧希望者を迎え入れることになります。その都度時間がかかりますし、内覧に向けての掃除といった手間もかかります。
買取であれば、マンションを見せるのは不動産会社だけです。内覧をたくさん受ける必要がないため、時間や手間を省けるというのはメリットと言えます。
7. 周囲に知られずに売却できる
マンション買取を選ぶことで、「周囲に知られずに売却できる」というメリットもあります。
不動産会社の仲介でマンションを売却する場合、物件の情報がホームページや折込チラシなどに掲載されます。不動産会社の店頭に、物件情報が掲載されることもあります。
売却情報が公開されるということは、同じマンションの住民や近所に住む会社の同僚などに、知られる可能性があるということです。
中には、周囲に知られずにマンションを売却したい方もいることでしょう。買取の場合は業者に対して直接売るため、ホームページやチラシなどを使う必要がありません。事情があって売却が決まるまで他人に知られたくない場合、買取にすると安心です。
マンション買取のデメリット
ここまでは、マンション買取のメリットを紹介してきました。もちろん買取にはデメリットもあります。
買取の大きなデメリットと言えるのは、一つだけ。ただしこのデメリットこそが、大きな問題です。なぜなら買取を選択することで、マンションの売却金額が、相場より大幅に低くなるからです。
相場よりどれぐらい低くなるかは、物件によっても異なります。
業者によっても異なりますし、買取保証か即時買取かによっても変わってきます。
ただし目安として、相場より3~4割程度は安くなってしまいます。
たとえば、本来であれば3,000万円で売れるマンションの場合。買取を選ぶことで、「1,800万~2,100万円」という価格にまで落ち込む可能性があります。
どうして買取の場合、相場よりぐっと低い価格になるのでしょうか?
それは買取業社が相場価格でマンションを売り、なおかつ利益を出そうと思えば、相場より低い設定にしなくてはいけないからです。
買取業者は当然、買取金額のまま売るわけではありません。
必要なリフォームを施し、自社で広告を出したり営業活動を行ったりして、売却活動を行います。それらの諸経費を上乗せして、さらに利益が出る形で、売却金額を設定する必要があります。
大まかに言えば、売却金額の内訳は次のようになります。
売却金額 = 買取金額 + 諸経費(広告費・人件費・リフォーム費用)+ 利益
売却金額が高くなりすぎれば、買い手がつかなくなります。そこで、売れるであろう金額を想定し、諸経費の見当もつけた上で、妥当な金額で買い取ります。
その結果、買取金額は相場より安くなってしまうというわけです。
買取のメリットとして、仲介手数料やリフォーム費用が不要であるとお伝えしました。ただし、一見負担が減るように見えても、実はその分買取金額が低くなってしまいます。
買取を選ぶ際には、買取が成立する仕組みを知った上で、総合的な判断を下すことが重要です。
まとめ
マンション買取のメリットとデメリットを紹介しました。マンションを売却する際、多くの方にとって最重要ポイントは売却金額です。相場から3~4割程度安くなる可能性がある買取は、できるだけ避けたほうが良いでしょう。
ただし、何らかの事情があって、安くてもいいからすぐに売りたい場合には、利用する価値があります。その場合も複数の業者から見積もりをとって、比較してから決めるようにしましょう。