マンション売却で確定申告が必要になるケースは?必要書類は?

投稿日:2018年8月3日 更新日:

マンションを売却して、売却益が出た場合や軽減税率などの特例を受ける場合は、確定申告が必要になります。確定申告が必要なケースや知っておきたい特例、確定申告を行う時期、必要書類など、マンション売却に関係する確定申告について整理しておきましょう。

確定申告とは?マンションを売ったら絶対必要?

まずは「確定申告とは?」という基礎知識を確認しておきましょう。

確定申告は、1月1日から12月31日までの間に所得があった場合、所得税の金額を申告し、所得税を納めるために行うものです。所得税とは「個人の所得に対してかかる税金」のこと。

所得には10種類あり、それぞれの所得に対して所得税がかかります。

所得の代表的なものは、サラリーマンなどの給料にあたる「給与所得」です。

ただしサラリーマンの場合、給与所得を受け取っていても、基本的に確定申告をする必要はありません。なぜなら会社が、毎月の給料から一定額を天引きし、年末調整によって所得税額の確定と納税を行ってくれるからです。

ただし、マンション売却によって利益が出れば、「譲渡所得」に区分される所得が発生します。そのため、譲渡所得にかかる所得税の申告と納税を行うために、確定申告を行わなくてはなりません。

売却益が出ず、むしろ損失が出た場合でも、必要に応じて確定申告を行います。なぜなら、確定申告を行うことで、その他の所得税の減税につながるケースがあるためです。

つまり、マンション売却を行ったら、誰でも確定申告が必要になる可能性があると大きく捉えておくとよいでしょう。

確定申告が必要になるケース

ここまで、どのような場合に確定申告が必要になるのか、簡単に説明しました。売却益がある場合とない場合に分けて、さらに詳しく見てみましょう。

1. 売却益がある場合

マンションを買ったときより高い価格で売れて「売却益」が出た場合、税法上では「譲渡所得」として扱われます。譲渡所得に対して所得税が課されるため、確定申告が必要です。

なお、あわせて知っておきたいのが、控除や軽減税率などが適用される特例です。マンション売却に際して、要件を満たした上で確定申告を行えば、特例が利用できます。特例には次の3つがあります。

1)居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例

必ず知っておきたいのが、「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」です。

マイホームを売る場合は、どれだけの期間住んでいたかに関係なく、最高3,000万円の特別控除が認められています。譲渡所得から3,000万円を差し引くことができるため、譲渡所得が3,000万円以下の場合は、実質は所得税がかからないということです。

国税庁のホームページに、適用を受けるための条件や手続きについて詳細が書かれています。詳細を確認した上で、必要書類を添えて確定申告を行いましょう。

(参考)国税庁ホームページ:「マイホームを売ったときの特例

2)マイホームを売ったときの軽減税率の特例

10年以上住んでいたマンションを売る場合、チェックしたいのが「マイホームを売ったときの軽減税率の特例」です。

マンションを売却する年の1月1日時点で、所有期間が10年を超えているかどうか確認しましょう。もし超えていれば、一定の要件を満たすことで、譲渡所得税の税率が軽減されます。

なおこの特例は、先ほどの「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」と同時に利用できます。まずは国税庁ホームページにて適用が受けられるかどうかを確認し、要件を満たしている場合は確定申告で所定の手続きを行いましょう。

(参考)国税庁ホームページ:「マイホームを売ったときの軽減税率の特例

3)特定居住用財産の買い換えの特例

売却益が出た場合にもう一つ知っておきたい特例が、「特定居住用財産の買い換えの特例」です。この特例のメリットを簡単に言うと、同じ金額か、高い金額の物件に買い替えた場合に「買い替え時点で税金がかからない」という点にあります。

マンションを売却して利益が出た場合、本来は譲渡所得税が課税されます。

ただし一定の要件を満たして「特定居住用財産の買い換えの特例」を使った場合、売却時点での売却はなかったとみなされて、課税を将来に伸ばすことができます。つまり、売却益が出たとしても、売却時点では税金がかからないということです。

実際に税金がかかるのは、マンション売却後に買った不動産を売却したときです。前のマンションをそのまま保有していて売却したとみなされ、その時点で譲渡所得が計算されて、所定の税金を支払うことになります。

この特例は、上記の「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」「マイホームを売ったときの軽減税率の特例」とは併用できません。どの特例を使うとメリットが大きいかを比較して、選ぶようにしましょう。

(参考)国税庁ホームページ:「特定のマイホームを買い換えたときの特例

2. 損失がある場合

ここまでは、マンション売却によって利益が出た場合の確定申告について見てきました。

マンション売却の際は、必ずしも利益が出るとは限りません。買ったときよりも低い価格でしか売れなかった場合、マンション売却によって損失が出ることになります。

マンション売却によって出た損失を「譲渡損失」といい、譲渡損失がある場合は、所得税を納める必要がありません。したがって、税法上では確定申告する必要はありません。

ただし、確定申告することで、メリットが生じるケースがあります。なぜなら場合によっては、損失の繰り越しが可能になる特例を受けることができるからです。

譲渡損失が出た場合に知っておきたい2つの特例を見てみましょう。

1)マイホームを買換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例

マンションを売却して新しいマイホームを購入した場合、適用できるかどうかをチェックしたいのが、「マイホームを買換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」です。

特例の名前の中に出てくる「損益通算」とは、売却によって生じた譲渡損失の金額を、給与所得や事業所得といった他の所得から差し引くことを意味しています。

譲渡損失が出て、なおかつ一定の要件を満たしている場合、譲渡損失を損益通算することができます。つまり他の所得から、損失分を控除できるということです。それでも損失が消化しきれない場合は、3年にわたって繰り返し損益通算を行うことができます。

これを「マイホームを買換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」と呼びます。この特例を使うことで、結果的に給与所得や事業所得にかかる所得税を減税することができます。

特例には適用要件がありますので、詳しくは国税庁のホームページで確認しましょう。適用される場合は、確定申告で所定の手続きが必要です。

(参考)国税庁ホームページ:「マイホームを買換えた場合に譲渡損失が生じたとき(マイホームを買換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例)

2)特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例

住宅ローンが残っているマンションを売却して譲渡損失が出た場合、適用されるかどうかを確認したいのが「特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」です。

住宅ローンのあるマンションを、住宅ローンの残高を下回る価格で売却して譲渡損失が出た場合は、先ほどの特例と同じく、譲渡損失の金額を給与所得や事業所得といった他の所得から差し引く(損益通算)ことができます。また、消化できない場合に、3年にわたって繰り返し損益通算を行える点も同じです。

なおこの特例の場合、新たなマイホームを購入しない場合であっても、適用することができます。

まずは適用要件を満たしているかどうかを国税庁のホームページで確認し、適用できる場合は確定申告にて所定の手続きを行いましょう。

(参考)国税庁ホームページ:「住宅ローンが残っているマイホームを売却して譲渡損失が生じたとき(特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例)

確定申告はいつまでに?必要なのにしないとどうなる?

ここまで、確定申告が必要になるケースを見てきました。次に、確定申告を行う場合はいつまでに行えばいいのか、「確定申告を行う時期」について見てみましょう。

マンション売却によって確定申告が必要になった場合は、売却した翌年の2月16日~3月15日の間に確定申告を行います。提出期限が土・日曜、祝日と重なった場合は、その翌日が提出期限となります。

確定申告の提出期限は、納税の期限でもあります。そのため確定申告をしなければいけないのにも関わらず、期限内に確定申告をしなかった場合は、納税期限もやぶることになり、「延滞税」がかかります。期間内に忘れず確定申告を行うようにしましょう。

(参考)国税庁ホームページ:「延滞税の計算方法

確定申告書類の提出先と提出方法

確定申告書類の提出先は、税務署です。確定申告書類の提出には、「持参」「郵送」「e-Tax」の3つの方法があります。それぞれ見てみましょう。

1. 持参

確定申告の書類は、税務署または税務署が開催する確定申告会場などに持参して提出することができます。マンション売却の場合、マイホームに引っ越すと住所が変わります。提出するのは、「提出するときに住んでいる場所」を管轄する税務署です。

(参考)国税庁ホームページ:「確定申告書の提出先

2. 郵送

確定申告の書類は、郵送でも送付することができます。「郵便物」または「信書便物」として送付しましょう。

なお、注意したいのが「ゆうパック」です。かつては郵便物として扱われていたゆうパックなどの小包郵便物は、郵政公社の民営化に伴って、現在では郵便物ではなくなっています。確定申告の書類を郵送する場合はゆうパックは使わないようにしましょう。

(参考)国税庁ホームページ:「申告書の提出

3. e-Tax

自宅にインターネットの環境がある場合は、「e-Tax」を利用して書類を提出することもできます。e-Taxであれば、税務署や申告会場に出向く必要がなく、自宅から24時間、インターネットを使って申告・納税ができます。

ただし利用するには、所定の手続きを済ませておくことが必要です。早めに確認して、手続きしておくことをおすすめします。

(参考)国税庁ホームページ:「個人でご利用の方

確定申告の必要書類

最後に、確定申告の必要書類について整理しておきましょう。確定申告で必要な書類は次の通りです。

税務署で入手できるもの

  • 確定申告書B様式
  • 分離課税用の確定申告書
  • 譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)

※その年の国税庁ホームページ「確定申告特集」から、各書類のPDFをダウンロードすることも可能です。

自分で用意するもの

  • 売却時の売買契約書(コピー)
  • 売却した不動産の購入時の売買契約書(コピー)
  • 仲介手数料など、売却手数料の領収書(コピー)

各種特例の適用を受ける場合は、さらに必要となる書類があります。

たとえば場合によっては、「売った居住用家屋やその敷地の登記事項証明書」「譲渡資産に係る住宅借入金等の残高証明書」などが必要です。詳しくは国税庁ホームページで確認して、事前に準備しましょう。

確定申告書類の書き方については、申告書類と一緒に受け取る「確定申告に関する手引き」に詳しく書かれています。国税庁ホームページにも毎年「確定申告特集」が掲載されますので参考にしましょう。

まとめ

マンション売却に関係する確定申告について、確定申告を行うケースや時期、必要書類、そして特例などについて見てきました。

特例に関しては、確定申告を行わなければ、軽減税率などのメリットを利用することができません。売却益が出た場合も損失が出た場合も、それぞれに特例があります。知らずに損することのないよう、しっかりと知識をつけておきましょう。

確定申告書類の提出期限についても、期限に遅れると延滞税がかかります。うっかり忘れてしまわないよう、早くから準備しておくことをおすすめします。





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