マンションを売却する際、売主はさまざまな書類の提出を求められます。登記簿謄本をはじめ、必要書類を事前に用意しておく必要があります。
マンション売却をスムーズに進めるためにも、売主が準備すべき必要書類を事前に把握しておきましょう。
マンション売却を思い立ったら、必要書類の準備を!
マンション売却にあたっては、さまざまな書類が必要です。
なかには、価格交渉の際に有利に働くものもあります。買主との交渉をスムーズに進めるためには、必要書類をなるべく早い段階で、手際よく揃えておくことがポイントです。
なお、マンション売却に必要な書類を提出するタイミングは、大きく分けて次の2つです。
- 不動産会社に売却を依頼するとき
- 売買契約が成立してから決済まで
続いて、各タイミングで必要になる書類について、一つずつ詳しく見てみましょう。
不動産会社に売却を依頼するときに必要な書類
まずは、不動産会社に売却を依頼するときに必要な書類を紹介します。
必要書類として紹介しますが、手元になかったり、紛失したりしていることもあります。全ての書類が揃わないこともありますので、できる範囲で準備しましょう。
1. 登記簿謄本(登記事項証明書)
登記簿謄本は、不動産に関する情報を記載した公的書類です。たとえば、不動産の所有者や建物の床面積、土地の面積などが記載されています。
登記簿謄本は、全国各地にある登記所や、法務局証明サービスセンターの窓口で交付請求を行って取得します。最寄りの窓口は、法務局ホームページから探すことができます。
登記簿謄本は、郵送による交付請求や、インターネットを使ったオンライン交付請求も可能です。オンライン交付請求を活用すると、次のようなメリットがあります。
- 窓口での交付請求と比べて、手数料が割安
- 自宅や会社で手続きを行うことができる
- 平日の夜21時まで請求手続きが可能
窓口に行く時間がなかなかとれない場合は、必要に応じてオンライン交付請求を行いましょう。手数料はインターネットバンキングで電子納付することが可能です。
(参考)法務局ホームページ:「登記事項証明書等の請求にはオンラインでの手続が便利です」
2. 売買契約書
売買契約書はその名の通り、マンションを購入したときに交わした契約書です。
不動産の売買契約は、高額に及ぶ大きな取引です。売買契約が成立した際には、契約書を作成して取り交わすのが一般的です。
売買契約書には、さまざまな取り決めが記載されています。売買した物件の情報や、その際の代金などが書かれていますので、再度目を通しておきましょう。
3. 重要事項説明書
重要事項証明書とは、契約条件などの重要事項に関する説明を記載した書類です。
国土交通省ホームページより引用
重要事項説明書には、宅地建物取引主任者による説明内容が書かれています。マンション購入時に不動産会社による仲介を受けた場合、この書面をもとに口頭で説明を受けています。
購入時に受け取っている書類ですので、売買契約書と一緒に保管しているケースが大半です。なるべく早い段階で、思い当たる場所を探しておきましょう。
4. 固定資産税納税通知書・課税明細書
固定資産税納税通知書・課税明細書は、毎年5月以降のタイミングで、固定資産税の納税対象者に送られてくる通知書です。
大津町ホームページより引用
固定資産税納税通知書・課税明細書には、対象となる不動産の固定資産税評価額や税額が記載されています。
固定資産税納税通知書・課税明細書は、その年の1月1日時点の所有者に対して送られます。マンションの引き渡しは基本的に年度の途中になるため、売却時に売主と買主の間で精算します。
精算する際は、不動産会社が日割り計算を行います。そのため不動産会社が固定資産税額を知るための資料として、固定資産税納税通知書・課税明細書を提出する必要があるというわけです。
5. マンションの管理規約や使用細則
マンションを購入すると、一般的にはマンションの管理組合で決められた管理規約や使用細則が配布されます。
マンションの管理規約や使用細則は、査定に必須の書類というわけではありません。ただし購入前にルールが分かったほうが、買主も安心します。また、いずれにせよ売却時には用意しておくことが必要です。
管理規約や使用細則が配布されていない場合は、管理組合に確認しましょう。閲覧することはできるので、許可を得てコピーをとることをおすすめします。
6. マンションの維持費に関する書類
マンション売却においては、マンションの維持費に関する書類もできれば準備しておきましょう。
維持費には、管理費や修繕積立金の他、管理組合費や町内会費、駐車場費なども含まれます。毎月どれぐらいの維持費が必要になるのか、分かるようにしておきましょう。
維持費に関する書類は必須ではありませんが、買主にとっては重要な情報です。できるだけ早い段階で提示できるようにしましょう。査定時に必要でない場合でも、なるべく売買契約までに用意することをおすすめします。
7. 付帯設備及び物件状況確認書(告知書)
付帯設備及び物件状況確認書(告知書)も、マンション購入時に受け取っている書類です。
国土交通省ホームページより引用
「付帯設備表」部分と「物件の状況」部分があります。
「付帯設備表」部分には、建物の付属物についての説明が記載されています。たとえば、照明器具や冷暖房機、網戸の有無などの情報が記載されています。
「物件の状況」部分には、物件の状況についての説明が記載されています。たとえば、契約前に雨漏りがあった場合は、その旨が記載されます。同時に、補修工事実施の有無や状況などもあわせて記載されています。
必ず提出すべき書類ではありませんが、できれば用意しておきましょう。買主に対して、事前に状態を正しく提示することが、後々のトラブル防止にもつながります。
8. 間取り図が記載されたパンフレットや広告、設備の仕様書など
マンションを購入する際に集めた、間取り図が記載されたパンフレットや広告などが手元に残っているなら、用意しておきましょう。
設備の仕様書もあれば、準備することをおすすめします。たとえば、人気のある設備が設置されている場合、販売図面に記載することで売却額のアップも期待できます。
売買契約が成立後、決済までに必要な書類
続いて、売買契約が成立した後、決済までに必要な書類を見てみましょう。大きく分けると、「売主自身に関連する書類」と「不動産に関連する書類」が必要です。
1. 売主自身に関連する書類
売主自身に関連する書類とは、一般的に次の書類を指します。マンションが親子や兄弟などの共有名義になっている場合は、共有者全員の書類を揃えましょう。
売主自身に関連する書類
- 身分証明書
- 印鑑証明書(3か月以内に発行されたもの)
- 住民票(3か月以内に発行されたもの)
- ローン残高証明書
住民票が必要になるのは、売却するマンションと現住所が異なる場合のみ必要です。ローン残高証明書が必要になるのは、住宅ローンを利用している場合のみです。
ローン残高証明書の発行方法は、借り入れを行っている銀行に問い合わせましょう。本人確認書類を提出し、所定の手数料を支払うことで発行手続きが行われます。
2. 不動産に関連する書類
不動産に関連する書類に関しては、必要になるのは「登記識別情報」(登記済権利書)です。
登記識別情報は、以前は「登記済権利書」として発行されていました。登記済権利書とは、その物件の登記名義人であることを証明する書類です。
現在では登記済権利書は発行されず、「登記識別情報」に切り替わっています。登記識別情報は電子化された情報で、2桁の数字と記号を組み合わせた符号です。
登記識別情報は、登記が完了した際に郵送される「登記識別情報通知書」に記載されています。目隠しシールの下に符号が書かれていますので、その符号を調べておきましょう。
なお、登記済権利書から登記識別情報への切り替え時期は、各登記所によって異なります。おおむね平成2006年から2008年にかけて、順次切り替えが行われています。
どちらを所有しているのかを確認して、用意しておくようにしましょう。
まとめ
マンション売却にあたっては、売主が準備すべき書類がいろいろあります。いざ必要になったときに慌てなくてもいいよう、計画的に準備を進めましょう。
ただし、どの書類が必要になるのかはケースバイケースです。また場合によっては、耐震診断報告書やアスベスト使用調査報告書などの提出を求められることもあります。
スムーズに売却を進めるためにも、早い段階で不動産会社に確認することをおすすめします。