大切なマンションを売却する際、事前に確認しておきたいのが「行政処分情報」です。行政処分を受けて改善しているケースもありますが、何回も処分を受けている会社や最近処分を受けたばかりの会社は避けたほうが安心です。
この記事では、行政処分情報の調べ方について解説します。
行政処分とは?
行政処分とは、法律や法令などを守らなかった個人や会社に対して、国や地方公共団体などの行政機関が一定の処分を与えることです。
宅地建物取引業法(宅建業法)では、ユーザーの利益を守るため、宅建業者に対して必要な規制を行っています。ただしどのような規制も、実際に守られなければ意味がありません。
そこで法律違反があった場合は、国土交通大臣または都道府県知事が不動産会社に対して指導したり、ペナルティを課したりすることができます。
つまり、不動産会社が過去に行政処分を受けたことがあるならば、何らかの宅建業法違反をおかした可能性があるということです。
行政処分は全部で3種類ある
一言で行政処分といっても、国土交通大臣や都道府県知事が不動産会社に与える行政処分には、次の3種類あります。
・指示処分・・・必要な指示を与える
・業務停止処分・・・業務の全部または一部の停止を命じる(一年以内)
・免許取消処分・・・宅建業者の免許を取り消す
3種類のうち、下にいけばいくほど処分は重くなります。また最初は指示処分であっても、指示を守れない場合は、業務停止処分や免許取消処分が下されることもあります。
行政処分の中にも、指示するだけのものから、免許を取り消すものまであることを、頭に入れておきましょう。
行政処分情報の調べ方
では、不動産会社の行政処分情報は、どこで調べることができるのでしょうか?行政処分情報の調べ方には、主に次の3種類あります。
・官報や公報で調べる
・名簿で調べる
・インターネットで調べる
それぞれについて詳しく見てみましょう。なお、一般の人が調べるときは、最後に説明する「インターネットで調べる」方法がオススメです。
1. 官報や公報で調べる
行政処分情報を調べる方法の一つ目は、「官報や公報で調べる」ということです。
不動産会社が行政処分を受けた場合、最終的には官報か公報で公開されます。官報は、日本国政府が発行している機関紙です。一方の公報は、地方公共団体が官報に準じて発行する文書のことを指しています。
ただし、一般の人が官報や公報を調べるのは現実的ではありません。
2. 名簿で調べる
行政処分情報を調べる方法の二つ目は、「行政機関に備え付けられた名簿で調べる」ことです。
詳しい手続き方法などは国土交通省か都道府県庁の担当窓口で尋ねましょう。
どちらの窓口に行くべきかは、不動産会社が国土交通省もしくは都道府県のどちらに管轄されているかによって変わってきます。
そして、不動産会社が国土交通省もしくは都道府県どちらの管轄であるかは、どちらに免許を申請しているかによって異なります。
一つの都道府県にのみ本店などの事務所を構えている場合は、都道府県知事の免許で営業しています。二つ以上の都道府県にまたがって事務所を構えている場合は、国土交通省の免許で営業しています。
どちらの管轄かを知るには、不動産会社のホームページやチラシを確認しましょう。免許証番号として、次のような記載があります。
例)国土交通大臣(〇)第〇〇〇〇号
例)〇〇〇〇知事(〇)第〇〇〇〇号
このように、免許証番号を見れば、「国土交通大臣」もしくは「〇〇〇〇知事」という記載があります。
国土交通大臣の場合は、下に挙げた「地方整備局に関する窓口」を確認しましょう。都道府県知事の場合は、同じく下に挙げた「都道府県に関する窓口」で窓口を探し、しかるべき窓口にて行政処分情報を調べましょう。
(参考)国土交通省ホームページ:「地方整備局に関する窓口」
(参考)国土交通省ホームページ:「都道府県に関する窓口」
3. インターネット検索で調べる
行政処分情報を調べる方法の三つ目は、「インターネット検索で調べる」ということです。国土交通省と一部の都道府県では、行政処分情報がインターネット上で公開されています。
(参考)国土交通省ネガティブ情報等検索システム(国土交通省)
(参考)国土交通省ネガティブ情報等検索システム(都道府県)
不動産会社の免許番号を見て、国土交通省もしくは都道府県どちらの免許を持っているかを確認し、いずれかのページで行政処分情報が掲載されていないかを調べましょう。
まとめ
行政処分情報を調べれば、処分歴があるかないかを知ることができます。
マンション売却は、大きな金額が動く取引です。信頼できる不動産会社かどうかを判断する基準の一つとして、取引前に行政処分情報を調べることをおすすめします。
一般の人が調べるときは、最後に挙げた「ネガティブ情報等検索システム」を利用するのが手軽で便利です。
過去に処分歴があったとしても、十分に業務改善がはかられて、現在では優良会社になっているケースもあります。とはいえ、複数回の処分歴がある不動産会社や、直近の処分歴がある不動産会社に関しては避けたほうが安心です。