マンションを売りに出すと、内覧の申し込みが入ります。内覧者はどこを見るのか、売主の立ち会いは必要なのか、さらにはお茶を出す必要はあるのかなど、疑問や不安が出てくることでしょう。
この記事では、内覧当日の内容や所要時間の目安、立ち会いの有無など、あらかじめ知っておきたい概要についてお伝えします。
最低でも30分は予定しておく
内覧の申し込みは、不動産会社を通じて、あらかじめ日時を約束した上で行われます。日時に関しては、なるべく内覧者の希望に合わせましょう。
内覧にかかる時間はケースバイケースです。少なくとも30分は見ておきましょう。
物件が気に入れば、内覧者は入念にチェックします。購入すべきか否かの判断材料を得るために、質問もたくさんします。すると内覧は長引き、1時間以上かかる可能性もあります。
次の予定を入れる場合は、余裕をもたせたスケジュールを組んでおきましょう。
内覧当日は、基本的に不動産会社の営業マンも同席します。鍵を預けておき、営業マンだけに対応をお願いすることも可能です。
ただし、よほどの理由がない限りは売主も立ち会うことをおすすめします。なぜなら、住んだことのある人にしか分からないことがあるためです。
とはいえ、つきっきりで案内する必要はありません。営業マンに任せておき、内覧者に自由に見学してもらいましょう。売主は「質問があるときだけ答える」というスタンスで構いません。
なお、売主が同席する場合「奥さん一人」というのが理想です。つまり営業マンと奥さん一人が、内覧者を迎えるという形です。
なぜ奥さんが望ましいのか、理由については後ほど詳しく説明します。
クローゼットの中を見せることもある
内覧では、室内はもちろんのこと、トイレや浴室、バルコニーなども見学の対象です。押し入れやクローゼット、靴箱のような収納スペースの中を見たがる内覧者もいます。
整理整頓ができておらず、押し入れやクローゼットは見せたくないという方もいることでしょう。プライバシーの問題から、気乗りしない方もいるかもしれません。どうしても見せたくない場合は、事前に営業マンに伝えておけば大丈夫です。
ただし買主の購入意欲を高めるという意味では、見せるほうが得策です。
なぜなら、住むうえで収納スペースがどれぐらいあるのか、使い勝手がいいのかなどは、重要なポイントです。見せることで収納量や収納しやすさをアピールできれば、印象がアップする可能性が高くなります。
収納スペースは、外から見ただけでは中の様子が分かりません。疑問や不安が残ったままでは、購入への意思が固まりにくい可能性もあります。
収納スペースを見たいと言われたら、できれば見せる方向で考えることをおすすめします。印象アップのためには、事前に整理整頓もしておきましょう。
立ち会いは「奥さん一人」が望ましい理由
内覧の概要を説明する中で、内覧日は「奥さん一人だけが立ち会うことが望ましい」ということをお伝えしました。
なぜ奥さん一人だけが望ましいのか、理由を3つお伝えします。
内覧者に落ち着いて見てもらえる
まずは、「内覧者に落ち着いて見てもらえる」という点について。
マンションは数千万円にも及ぶ買い物です。内覧者は、じっくりと中を見て回りたいと思っています。家族全員が在宅していれば、内覧者は落ち着きません。
ご主人がいると、威圧感が出る可能性があります。小さな子どもがいて、走り回ったりケンカしたり、大声で泣いたりすれば、内覧者はそのたびに気になってしまいます。
またすべての部屋を見てみたいと思っていても、たとえば寝室でご主人が寝ていたり、子どもたちが子ども部屋で勉強していたりすれば、遠慮してしまう可能性もあります。
内覧は、疑問や不安がなくなるまで見てもらうことが基本です。そのためにはご主人や子どもは外出し、奥さん一人がベストというわけです。
住み心地に関する細かい質問にも答えられる
続いて、「住み心地に関する細かい質問にも答えられる」という点について。
内覧者は実際に暮らすことをイメージしながら内覧しています。住環境はどうか、水回りや収納スペースといった部屋の設備の使い心地はどうなのかなど、気になることがあれば売主に質問します。
住環境や室内設備など、細かい点を把握しているのは、多くの場合奥さんでしょう。共働きのご家庭のケースもありますが、一般的には女性のほうが、住環境や室内設備などについて把握しています。
たとえば、「近所にスーパーマーケットはどれぐらいあるのか?」「子どもの通学路は安全か?」「冬でもベランダに干した洗濯物は乾くのか?」などの質問に答えるなら、やはり奥さんのほうが理想です。
細かい質問に具体的に答えることができれば、内覧者は暮らすためのイメージがしやすくなります。結果的にも、売却に結びつきやすくなります。
即答できない質問を先延ばししやすい
もう一つ、「即答できない質問を先延ばししやすい」について。
内覧では、内覧者の質問に丁寧に答えることが基本です。ただし中には即答できない質問や、その場で答えないほうがいい質問があります。
代表的なものが「値引き」に関する質問です。
内覧者の中には、内覧の最中に値引きの相談をもちかける人もいます。安易に値引き交渉に応じるのは得策ではありません。
奥さん一人が対応している場合は、「主人と相談してからお返事します」と先延ばししやすくなります。
また、「このエアコンを置いて行っていただけますか?」などと、売主が購入した付帯設備についても相談をもちかけられる場合もあります。
もちろん置いておくことが決まっているなら、その場で答えると良いでしょう。決まっていない場合、気を遣って「残す」と答える必要はありません。
奥さん一人なら、「主人に聞いてみないと分からないので……」と、はぐらかしやすくなります。ただし内覧後に落ち着いて相談し、忘れずに後日回答するようにしましょう。
なおエアコンを取り外して新居に持って行くか、残したままにするかは、売主次第です。自由に決めて構いません。
ただし「売買契約を結ぶ前」に決める必要があります。別記事(マンション売却前にエアコンは取り外すべき?残したまま?)を参考に早めに決めましょう。
マンション売却前にエアコンは取り外すべき?残したまま?
マンションを売却するとき、エアコンは取り外すべきでしょうか?それとも残したまま… 続きを読む
基本的に、お茶は出す必要なし
ここまで、内覧には奥さん一人だけが売主として対応するのが望ましい理由を見てきました。
中には一人では不安という方もいるでしょう。もちろんご夫婦で対応しても構いません。その場合は特に、内覧者に気を遣わせないような対応を心がけましょう。
気を遣わせないという意味では、内覧者にお茶を出す必要はありません。
内覧に来る目的は、物件を実際に見て確認することにあります。売主とすれば心遣いでお茶を出したつもりでも、かえって内覧者が気を遣うことになりかねません。
ただし質問が多く、座ったまま会話する時間が長引くことがあります。この場合、さりげなくお茶を出すのは構いません。
じっくり見学してもらうためにも、「基本的にお茶は出さない、ただし様子を見てさりげなくお茶を出す」というスタンスが良いでしょう。
まとめ
はじめての内覧となると、疑問や不安もあることでしょう。ただし大切なことは、「内覧者が納得できるまで内覧してもらう」という点にあります。可能な限り収納スペースの中も見てもらい、質問には具体的に答えましょう。
当日は不動産会社の営業マンも同席しています。分からないことや気になることがあれば、遠慮せず聞くようにしましょう。