不動産会社に仲介を依頼する際、媒介契約書を交わします。記載事項を丁寧にチェックしておかなければ、後々のトラブルにつながる可能性もあります。
この記事では、媒介契約書で必ず確認しておきたい、6つのチェックポイントを解説します。
ポイント1:標準媒介契約約款を使用しているか?
まず確認したいのが、「標準媒介契約約款を使用しているか?」という点です。
標準媒介契約約款とは、国土交通省が用意している、いわば「媒介契約書のテンプレート」です。標準媒介契約約款を使うことで、基本的に抜け漏れのない媒介契約書を作ることができます。
国土交通省では、標準媒介契約約款を用いて媒介契約を結ぶように、不動産会社に指導しています。また、標準媒介契約約款にない事項を契約に盛り込む場合は、具体的に標準約款に追記することを推奨しています。
媒介契約書を受け取ったら、まずは標準約款を使っているかどうかを確認しましょう。
契約書のタイトルの横に、「この媒介契約は、国土交通省が定めた標準媒介契約約款に基づく契約です」といった文言が書かれているかどうかが、見極めるポイントです。
不動産会社が独自に作ったテンプレートを使っている場合は、標準約款の記載内容と照らし合わせてみましょう。内容に漏れはないか、不明点はないかなどを確認することをおすすめします。
ポイント2:物件情報の記載に誤りがないか?
次に確認したいのが、「物件情報の記載に誤りがないか?」という点です。
物件情報の欄には、所在地だけではなく、専有面積、建物の構造や規模などの情報も含まれます。
媒介契約書に書かれた物件情報に誤りがあると、レインズの登録内容や広告の掲載内容にも影響が及ぶ可能性があるため要注意です。
間違いがないか一字一句チェックしておきましょう。
ポイント3:媒介契約の種類は合っているか?
続いて「媒介契約の種類は合っているか?」という点も、媒介契約書で確認したい記載内容です。
媒介契約には、次の3つの形式があります。
- 一般媒介
- 専任媒介
- 専属専任媒介
媒介契約を結ぶ際、この中から一つの形式を選び、契約を結びます。
媒介契約書には、「この契約は、次の3つの契約形式のうち、一般媒介契約形式です」といった表現で、媒介契約の種類が記載されています。
媒介契約の種類について、間違いがないかを確認しておきましょう。なぜなら契約形態によって、特徴やメリット・デメリットが異なるからです。
詳しくは別記事(マンション売却では一般媒介、専任媒介、どちらを選ぶべき?)で解説していますので、あわせてご確認ください。
なお、同時に複数の不動産会社に依頼できる一般媒介の場合、「明示型」といって、他社へ依頼する際にはすでに一般媒介契約を結んでいる不動産株式にその旨を通知する条項が設けられているのが一般的です。
ポイント4:レインズに登録されるのか?
一般媒介なら、レインズへの登録の有無も、媒介契約書で確認したいポイントです。
専任媒介・専属専任媒介の場合、レインズへの登録は不動産会社の義務になっていますが、一般媒介の場合、レインズへの登録義務はありません。
ただし、別記事(マンション売却活動に影響する「レインズ」の仕組みとは?)でも解説している通り、レインズへの登録が、マンション売却への道を開くこともあります。
一般媒介で複数の不動産会社に依頼する場合、一社だけでもレインズに登録してもらえるよう、打診してみましょう。
ポイント5:契約期間は3か月を超えていないか?更新方法は?
契約期間についてもチェックが必要です。
まずは、契約期間が3か月を超えていないかどうかを確認しましょう。
専任媒介と専属専任媒介は、3か月を超えないことが定められています。仮に3か月を超える契約期間が書かれていても無効になりますが、念のため確認しておきましょう。
一般媒介に関しては、契約期間に決まりはありません。法的には無期限にすることも可能です。
インターネットで情報を収集していると、「一般媒介は契約期間が無期限」とだけ書かかれている不動産サイトを多く見かけることでしょう。
しかし、実際には、国土交通省が「3か月を超えないこと」を強く推奨し、多くの不動産会社が3か月以内としています。一般媒介の場合も、3か月以内に設定されているかどうか確認しましょう。
もう一点見ておきたいのが、更新に関する記載です。
基本的に媒介契約の更新は、契約期間が終わるときに、依頼者からの申し出によって更新されるものです。更新のタイミングで十分に更新の有無を考慮する機会が売主に与えられているわけです。
ただし中には、自動更新できるように、特約をつけているケースもあります。売主が自らの意思で判断できるよう、自動更新の特約は外してもらうことをおすすめします。
ポイント6:仲介手数料の金額に問題はないか?支払いタイミングは?
媒介契約書をチェックする際は、仲介手数料についても丁寧に確認しましょう。「約定報酬」と書かれている項目が、仲介手数料にあたります。
確認する際のポイントは「金額」と「支払いのタイミング」の2点です。
仲介手数料の金額は、マンションの売却金額によって変動します。ただし法律で上限が定められており、次の数式で求めることができます。
仲介手数料の上限額 = 売買価格 × 3% + 6万円 ※税別
たとえばマンションの売却代金が4,000万円の場合、仲介手数料の上限額(税別)は、4,000万円 × 3% + 6万円 = 126万円(税別)となります。
金額が上限までにおさまっているかどうかを、念のため確認しておきましょう。
支払いのタイミングは、次のように2回に分けて支払うパターンが一般的です。
- 契約締結時・・・仲介手数料の50%を支払う。
- 引き渡し完了時・・・残りの50%を支払う。
ただし不動産会社との合意ができている場合は、契約時に全額を支払うケースもあります。
なお、仲介手数料を無料にしている場合、「両手仲介」など何らかのカラクリがある可能性があります。
詳しくは別記事(マンション売却の仲介手数料の相場は?値引きや無料は可能?)で紹介しています。あわせてご確認ください。
まとめ
不動産会社と契約を結ぶ際は、媒介契約書をすみずみまでチェックしましょう。特にこの記事で紹介した6つのポイントは、後々のトラブルを避ける意味で重要な点です。
気になることがあれば、そのままにしないことが大切です。必ず不動産会社に尋ね、不安をなくしてから署名捺印するようにしましょう。