営業活動報告書は、不動産会社が売主に対して定期的に提出する書類です。売却活動の経過を知る上で、重要な情報が掲載されています。ポイントをおさえて確認し、有効に活用しましょう。
この記事では、営業活動報告書の主な内容と、見るべきポイントについてお伝えします。
営業活動報告書とは?
マンション売却における営業活動報告書とはその名の通り、営業活動の内容を報告するために、不動産会社が売主に対して提出する書類です。
不動産会社がどのような売却活動を行い、どのような結果が得られたのかが、レポートとしてまとまっています。
なお、営業活動報告の義務があるのは、後ほど詳しく解説する通り、専任媒介契約と専属専任媒介契約を結んだときのみです。
一般媒介契約の場合、営業活動報告をする義務はありません。ただし中には義務の有無に関わらず、定期的に営業報告書を作成して、売主に提出する熱心な不動産会社もあります。
営業報告書が手元に届いたら、項目を一つずつ丁寧にチェックするようにしましょう。
営業活動報告書の内容と目的
営業活動報告書に記載する内容は、不動産会社が自由に決められます。一般的には、次のような項目が設けられています。
- 広告活動の内容
- 新規問い合わせ件数
- 内覧の申込数や案内数
- 内覧の結果
- 交渉の有無や内容
- 今後の活動予定 など
たとえば、広告活動の内容について。
不動産会社が展開する広告活動には、別記事(マンション売却のために不動産会社が行う広告活動のすべて)で紹介した通り、新聞折込チラシやポスティングチラシ、インターネット広告など、さまざまな手法があります。
マンションが売れるためには、売却物件の情報が広まることが欠かせません。
広告活動に関する項目を見れば、何枚のチラシが配布されたのか、どのような媒体にインターネット広告が出されたのかなど、広告活動についての詳しい内容を知ることができます。
売主にとって営業活動報告書は、広告活動をはじめとした売却活動について、詳しく知るための重要な情報源です。
また、売主と不動産会社が互いに情報を共有することで、今後の方針を相談する材料として活用することもできます。
つまり営業活動報告書を確認する目的は、これまでの活動内容を確認することで、「早期売却につなげる」という点にあるというわけです。
特にチェックしたい3つのポイント
マンションの早期売却という目的を果たすためにも、次の3つのポイントについて重点的にチェックすることをおすすめします。
- 新規問い合わせ件数
- 内覧の申込数や案内数
- 内覧の結果
それぞれについて見てみましょう。
新規問い合わせ件数
まずは、新規問い合わせ件数がどれだけあったかをチェックしましょう。
マンションが売れるためには、問い合わせが欠かせません。売却活動によって、どれだけの問い合わせがあったかを把握しておきましょう。
極端に少ない場合は、次の項目で紹介している記事を参考に、何らかの対策が必要です。
内覧の申込数や案内数
次に、内覧の申込数や案内数のチェックも欠かせません。
マンションは数千万円にも及ぶ高い買い物です。現物を見ずに購入を決める人はいないでしょう。内覧を希望し、そのうちどれだけの人数が実際に内覧したのか、数字で見て把握しておきましょう。
内覧の申し込みが少ない場合や、一件もない場合、先ほどの新規問い合わせ数が極端に少ない場合は、次のような原因が考えられます。
- 売り出し価格が相場より高すぎる
- 広告活動が十分でない、または魅力的に行われていない
- 不動産会社によって「囲い込み」が行われている
それぞれの詳しい内容や対策については、別記事にて詳しく説明しています。営業活動報告書を見て、内覧の申し込みや新規問い合わせ件数が少なすぎると感じたら、ぜひ参考にしてください。
内覧の結果
内覧の結果も、じっくり確認したい項目です。
特に重視したいのが、見学した人が購入を見送った場合、どのような点がネックになったのかという点です。
内覧があるにも関わらず売れないことが続いているなら、図面からは伝わらない、何らかのマイナス要因があると推測できます。
売れるためには、まずはマイナス要因を突き止めることが大切です。マイナス要因は「買わない原因」ともいえるからです。
内覧者それぞれに予算も考え方も違いますから、もちろん「買わない原因」はさまざまです。
とはいえ、複数から同じ意見が出ている場合や、住んでいる立場では気づきにくい生活臭などに関する声が出ている場合、改善の手立てを打つ価値はあります。
買わない原因を知ることの大切さと対策については、別記事にて解説しています。営業報告書に書かれた「内覧の結果」と、あわせてご覧ください。
媒介契約によって頻度が異なる
ここまで、営業活動報告書の内容と、重点的にチェックしたいポイントについてお伝えしてきました。
冒頭でも説明した通り、営業活動を報告する義務があるか否かは、媒介契約の種類によって異なります。報告義務の有無と活動報告のペースは次の通りです。
- 専任媒介・・・2週間に1回以上
- 専属専任媒介・・・1週間に1回以上
- 一般媒介・・・報告の義務なし
このように、営業活動報告が義務付けられているのは、専任媒介と専属専任媒介の2つだけです。ただし報告の義務がない一般媒介であっても、営業報告を行う会社もあります。
活動報告に関して、決まっているのは頻度のみです。方法には特に決まりはありません。そのため電話やメールで報告する会社もありますが、書面で報告することがほとんどです。
熱心さを見極める材料にもなる
繰り返しになりますが、営業活動報告書には、全社共通で決められたフォーマットはありません。各社それぞれにフォーマットが存在し、それぞれの担当営業マンが情報を記載します。
つまり不動産会社によって、ひいては営業マンによって、営業活動報告書の内容や書き方が変わります。営業活動報告書は、「不動産会社の姿勢や営業マンの熱心さ」を見極める材料にもなるということです。
当たり障りのない内容を、ただ形式上書いて出しているだけなのか? それとも、売買契約につなげるために、細かく分析しながら丁寧に書いているのか? そもそも、営業活動を積極的に行っているのか?
その違いを明確にすることで、不動産会社や営業マンの能力や分析力、そして姿勢を判断することができるのです。
重要な材料となる営業活動報告書をおろそかにするようでは、売却活動の姿勢にも疑問符がつきます。ましてや定期的な義務を怠るようでは、安心して任せることができません。
営業活動報告書を見て不安や不満を感じたら、 更新時に違う不動産会社と媒介契約を結んだほうが良いでしょう。別記事を参考に、納得できる不動産会社を選ぶことをおすすめします。
まとめ
マンション売却の営業活動報告書は、売却活動の現状と、営業マンの姿勢を知るための大切な書類です。特に、なかなか売れないときは注意してチェックしてみてください。
営業活動報告書は本来、今後の売却活動に生かす目的でチェックするものです。
もしも十分な売却活動が行われていない、営業活動報告書の内容がおろそかになっているなどの場合は、注意が必要です。しかるべきタイミングで、他の不動産会社と契約し直すほうが良いでしょう。