マンション売却を成功させるには、不動産会社のサポートが不可欠です。積極的な販売活動をしない、対応に問題があるなど、不動産会社の姿勢に疑問や不満を感じるなら、媒介契約を途中解約することも選択肢の一つです。
ただし場合によっては違約金や営業費用の支払いも発生するため、注意が必要です。この記事では、媒介契約の種類ごとに、解約の方法や違約金が発生するケースについて解説します。
一般媒介契約の解約について
一般媒介は、売主が複数の不動産会社に売却を依頼できる契約形態です。
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媒介契約を解除するには、電話もしくは書面で申し出ましょう。合意を得ることができれば解約成立です。
解約を申し出るのは、電話のみでも構いません。ただし後々のトラブルを防ぐためには、内容証明郵便を送っておくと安心です。郵便局が内容について差出日から5年間保存を行い、証明してくれます。
基本的に媒介契約を途中解約しても違約金は発生しません。
ただし、事前に売主の了承を得た広告費用や出張費用などについては、請求対象になることがあります。
不動産会社は売却活動のための戦略を立て、広告費や、場合によっては出張費をかけて営業活動を行っています。売買契約が成立していなくても、実費が発生しています。
そのため、宅地建物取引業法(宅建法)では、不動産会社に落ち度がない場合は、費用を請求できることが定められています。
あらかじめ、どのような費用が請求対象になるか、媒介契約書でチェックしておきましょう。
専任媒介・専属専任媒介も解約は可能
専任媒介と専属専任媒介は、一社のみに売却を依頼する契約形態です。
専任媒介契約・専属専任媒介契約の場合も、途中解約は可能です。ただし「売主都合で解約した場合」と「不動産会社に落ち度があり解約した場合」とでは、やや内容が異なります。
それぞれのケースについて、詳しく見てみましょう。
売主都合で解約する場合
まずは、売主都合で解約する場合です。
法令違反といった明らかな落ち度はないものの、「販売姿勢に満足できない」「営業マンと相性が悪い」などのケースが相当します。
不動産会社に落ち度がなくても、媒介契約の途中解約は可能です。後ほど説明する例外を除いては、原則として違約金も発生しません。
ただし違約金が発生しない場合でも、一般媒介と同じく、広告費や出張費などの支払いを求められることがあります。
解約の手続きに関しては、一般媒介と同様です。電話での申し出でも構いませんが、念のため内容証明郵便を送っておくと安心です。
不動産会社に明らかな落ち度がある場合
次は、不動産会社に、明らかな落ち度がある場合の解約について見てみましょう。たとえば、次のようなケースが相当します。
・期日内に指定流通機構(通称:レインズ)に登録しない
・法定義務である定期的な報告を行わない
・囲い込みを行い、自社のみで情報を抱えている
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このように不動産会社が明らかに契約違反を犯している場合は、すぐに媒介契約の解約が可能です。もちろん違約金や広告費などの費用などの請求も受けません。
違約金が発生する場合は?
ここで、違約金が発生するケースについて紹介しましょう。
注意したいのが、専属専任媒介契約を結んでいながら自己発見取引をしたケースです。
自己発見取引とは、売主が自力で買主を見つけ、売買取引をすることです。たとえば、知人がマンションを買いたいと希望したため、売主が直接売却した場合、自己発見取引に相当します。
専属専任媒介契約において、自己発見取引は禁止されています。そのため自己発見取引による解約は契約違反となり、仲介手数料相当の違約金が必要になることもあります。
思わぬ請求を受けて慌てなくて済むように、専属専任媒介契約を結んでいるときは注意しましょう。
まとめ
どの契約形態であっても、媒介契約の解約は基本的に可能です。専属専任媒介における自己発見取引以外は、解約による違約金も原則として発生しません。
ただし、例外事項が特約として定められていることもあります。契約解除を行う際の違約金や費用負担については、媒介契約書に明記されています。解約しようと考えているなら、まずは媒介契約書に目を通しましょう。
途中解約による違約金や費用負担が発生するなら、契約の更新を待ち、「更新しない」というのも一つの手段です。