マンション売却にかかる期間は、ケースバイケースです。よく見かける「平均3か月」という数字には何ら意味がありません。期間は売主次第で、むしろ「いつまでに売りたいか?」という方針を決めることが大切です。
この記事では、売却前に知っておきたい「マンション売却の期間」に対する考え方をお伝えします。
平均売却期間を参考にする必要なし!
マンション売却を決めたら、どれぐらいの期間で売れるのかが気になる方も多いことでしょう。実は売却までの期間は売主次第の部分が大きいです。
マンション売却に関するウェブサイトを見ていると、「平均3か月」という数字を多々見かけます。
三井住友信託銀行グループ「三井住友トラスト不動産」のホームページにも、2014年に関して次のようなデータが掲載されています。
<三大都市圏のマンション平均売却期間>
- 首都圏・・・2.5か月
- 近畿圏・・・3.3か月
- 中部圏・・・4.1か月
(参考)三井住友トラスト不動産ホームページ:「不動産マーケット情報」
このデータを見れば、売り出しスタートから成約まで、「3か月を目安にすればよい」という印象を受けるかもしれません。
しかし、実際は、「約3か月」という平均売却期間を気にする必要はありません。
なぜ、気にする必要がないのか?
なぜ、平均売却期間を気にする必要はないのでしょうか?主な理由は次の2つです。
- どれ一つとっても、同じ条件のマンションはない
- 何を優先するかによって、売却期間は大きく変わる
それぞれについて、詳しく見てみましょう。
どれ一つとっても、同じ条件のマンションはない
マンションはすべて条件が異なります。立地や築年数、広さなどの条件が違えば当然ながら、売れ行きは異なります。
たとえば人気エリアのマンションの場合、売り出してすぐに売れることも多々あります。同じく人気の学区に建つマンションであれば、近所の住民が常々チェックしており、売り出して数日で購入申込みがあることも珍しくありません。
逆に、一般的に売れにくいと言われる西向きマンションの場合、適切な戦略を立てて売らなければ、1年経っても売れないケースも存在します。
つまり平均期間は、あらゆる条件のマンションから導き出された数字です。条件の異なるマンションが売れた期間の平均を知っても、ご自身のマンション売却には何の意味もありません。
何を優先するかによって、売却期間は大きく変わる
売主が何を優先するかによって、売却期間は大きく変わります。
たとえば売主が「売却期間」を優先する場合。要は「早く売ること」がもっとも重要な場合は、最初から価格を下げてでも売ることを徹底します。
一方、売主が「価格」を優先する場合。要は「高く売ること」がもっとも大事な場合は、売却期間が長引いても強気の価格設定をしたまま、気長に待ちます。
つまり、値段を安くしてでも早期売却するのか、相応の売却金額を目指して時間をかけて待つのか、結局は売主次第なのです。
大事なことは、売却時期の目標を決めること!
ではマンションを売る際、どのように期間を意識すればよいのでしょうか?
まずは「いつまでの売却を目指すのか?」という最終期限を設定しておくことが大切です。さらに、「いくら以上の価格で売りたいのか?」という最低価格も、あわせて決めておきましょう。
なぜなら、最終期限と最低価格を決めておくことで、売却までの戦略を立てることができるからです。結果的に、目標期間内での売却の可能性が高くなります。
最終期限まで余裕がある場合なら、最初は強気の価格設定が可能です。逆に、最終期限まで時間がない場合は、価格設定を抑えることも考える必要があります。
目標期間で売れそうにないなら?
希望通りの期限までに売れそうにない場合、戦略的な値下げが必要になります。
「売れなければ、いつどれだけ値下げするのか?」「最終的な値下げは、どのタイミングで行うのか?」などを、不動産会社とあらかじめ相談しておきましょう。
ただし売れない理由が価格以外の場合は、値下げしても売れません。誠実な不動産会社であれば、安易な値下げをすすめることはありません。
売れない場合、まずは「どの時点でつまずいているのか?」を見極めて、対策を立てることが大切です。それから値下げしても、決して遅くありません。
売却活動を始めてもなかなか売れない場合、大きく次の2つのパターンに分けられます。
- そもそも内覧の希望や問い合わせが少ない
- 内覧には来るが、成約しない
どちらのケースに相当するのかを確認しましょう。
一般媒介契約の一部を除いては、不動産会社から定期的に営業報告書の提出があります。内覧の申込数や案内数などの数字を見て判断しましょう。
なお、それぞれのパターンにおける対策に関しては、別記事にて詳しく解説しています。目標期間内に売るためにも、ぜひ参考にしてください。
不動産会社を変えることも一つの手段
売れないということは、ある意味では「不動産会社の戦略が正しくない」ということです。
営業マンと接していて、「価格に関する戦略が明確でない」「広告活動が不十分」「対応に誠実さが感じられない」などの不満や不安を感じるなら、不動産会社を変えることも一つの選択肢です。
たとえば、知名度だけで不動産会社を選んでも、エリア情報に詳しくない場合があります。
地域情報を把握し、地域における販売実績を豊富に持つ地元不動産会社を、選択肢に入れるのも有効です。
まとめ
マンションの売却期間はケースバイケースです。「平均3か月」という数字に意味はありません。
いつまでに売りたいのかを決めておくことが大切です。最低価格もあわせて決めておき、戦略的な売却活動を行いましょう。
なお、売り出しから成約までの「売却期間」以外にも、実際には不動産会社を探す期間や、成約から引き渡しまでの期間も必要です。マンション売却を決めたら、なるべく早く不動産会探しを始めることをおすすめします。