「不動産を査定してもらう時に路線価という言葉を聞いたけど、どんな意味だろう?」
「不動産査定の実勢価格って何?」
「不動産の査定で売買価格に1番近い価格を知りたい時の方法は?」
など、不動産を査定する前に知っておきたい「路線価と実勢価格」について住マイくんが不動さんに詳しく聞いています。
せっかくなので一緒に聞いて参考にしてみましょう。
この記事の後半とトップページで不動産売却サイトのランキングを載せています。
不動産を売ろうと思っている方は参考にしてみてください。
不動産の査定基準になる路線価を知らないと損をする?
あなたは路線価という言葉を今までに聞いたことはありますか?
普通、路線と聞くと電車などの鉄道路線を思い浮かべるかもしれませんが、不動産売却での路線は道路を指します。
「路線価」とは、国税局が各道路に面する土地の評価額をまとめたものです。
主に相続税・贈与税等を算出する時に用いられます。
具体的には1平方メートル当たりの評価額を示したものになり、HP上で公開されています。
また、その中でも都道府県別で最も高額な路線価は「最高路線価」と呼ばれています。
例えば、日本一高額な土地は「中央区銀座5丁目 銀座中央通り」の2,696万円/㎡になり、信じられない価格が付いています。
参考までに、2016年7月に平均路線価が8年ぶりに上がりました。
最も上昇率が高かったのは東京都の2.9%です。
他の県と最高路線価を比較すると
・神奈川県:713万円
・千葉県:128万円
・埼玉県:258万円
・大阪府:832万円
と23区中心部がどれほど異常な価格であるかが分かると思います。
土地評価額は路線価と市場価格を参考にする
ここでは土地の評価額の確認方法を紹介しましょう。
建物価格は別として考えます。
土地の査定額は自分で簡単に調べることが出来るので一度試してみてください。
路線価を確認する
まずは自分の土地住所を調べて下さい。
その次に土地住所から路線価を確認します。
国税局HP(http://www.rosenka.nta.go.jp/)にアクセスして、都道府県⇒市区町村と徐々にエリアを絞っていきます。
すると上記画像のような白地図が表示されます。
これは円単位での表記になります。
例えば、400Cと記載されていれば400,000/㎡となります。
ちなみに末尾のアルファベットは借地権割合を示しています。(C=70%/A=90%等が定められています。)
路線価を坪単価に変換
通常、一般的な住宅は坪単位で表記がされています。
路線価が400Cとすると、
住宅の坪単価は1坪=3.3㎡なので35坪の住宅であれば、
400,000円✕3.3㎡✕35坪=46,200,000円となります。
市場価格は70%から80%
実はここまでに計算した路線価は相続税計算を目的にしたものなので、実際の市場価格の70~80%に相当します。
そのため1.25〜1.4程度を乗じた金額が実際の価格となります。
先ほど計算した土地であれば6,000万円前後というところでしょうか。
土地の評価額を知ることは有利な交渉術
不動産を売ろうと思った時にオンライン不動産査定などで複数社を比較するのも、査定額の根拠を知る重要な方法です。
しかし、土地の価格は先ほどの方程式で導くことができます。
不動産会社の手数料や儲けを考慮する必要はありますが、自分で損をしないように相場と違う見積もりを見破ることが出来ます。
上手く活用して相場に合った見積もりをしてもらいましょう。
もっと正確に土地の価格を知ることができる実勢価格
土地の価格を調べる時の目的は、主に「売却をする時に参考したいから」ではないしょうか?
土地の価格を調べる方法は、他にも相続や固定資産税の評価額や公示地価などありますが、売買価格に1番近い価格はこの実勢価格でしょう。
では実際にどういう情報で、他の価格とどれくらい差があるのかを実例を挙げながら考えてみましょう。
実勢価格は実際に売買されている価格
実勢価格とは、実際の市場で売買されている価格のことになります。
土地の価格以外でも実勢価格は存在します。
例えば、スーパーで売られている食品などは、季節によって異なる値段が付いています。
これも実勢価格になります。
各小売店で販売される値段は上下しますが、全体ではある程度の相場価格が決められています。
この時、価格が相場よりも高ければ購入を見送り、安ければ購入が促進されます。
似たような価格の付け方に「オープン価格」があります。
つまり、定価売りをしていない商品や定価がある商品でも価格変動はあります。
この様に日々変動する価格を実勢価格と言います。
土地の価格も同じように、近い地域で似ている条件の取引例を集めてみると、価格が安い取引も高い取引も㎡単価や坪単価は総じて似たような価格になり、それが実勢価格になります。
実勢価格の考え方は幅を持たせよう
普段の生活で日常的に実勢価格を目にしたことがあっても「同じ商品でも場所で異なる価格」が付いているため、その価格が相場価格かどうか判断できるのは商品の定価や相場を知っているからです。
それに対して、土地の場合には「土地ごとに異なる価格」が付いているので、判断が難しいです。
そして、実勢価格に基づいた価格で取引がされるかというとそうではありません。
成立する売却価格は、買主の交渉で自由に変わってくるので実勢価格に近いとは限りません。
このように、土地の実勢価格は過去の平均的な価格で、将来の取引で成立しそうな価格ではないので、他の商品と土地を同じように考えないことが重要です。
他にも、過去の取引例から平均値を出すことは可能ですが、平均値を参考にするのではなく、幅のある価格帯として参考にしておくべきでしょう。
例えば、似ている条件の物件を3つ集めて取引価格を比べた場合、
それぞれの単価が
・19万円/坪
・20万円/坪
・21万円/坪
だったとして、平均が20万円/坪だから実勢価格も20万円/坪とするよりも、取引する条件によって19万円/坪~21万円/坪くらいになると考えた方がいいでしょう。
実勢価格を調べるには土地総合情報システムを使う
実勢価格を調べる方法として、国土交通省が提供している土地総合情報システムを使って取引例から調べる方法があります。
国土交通省|土地情報総合システム(http://www.land.mlit.go.jp/webland/)
このシステムを使えば、地域を指定して過去の土地取引を閲覧できます。
例えば「不動産取引価格情報検索」から「地域を選ぶ」で、「東京都」「世田谷区」「上馬」と検索してみます。
※取引時期は「平成27年第1四半期(過去1年間を含む)」です。
※検索結果は四半期で更新されるため、同じ結果になるとは限りません。
リストの2、5、7の住宅地は、駒沢大学駅からそれぞれ5分~9分と同一圏内にある長方形の土地で、広さ、前面道路の幅員、方位などは異なります。
しかし、感覚的には似た物件と考えて問題のない範囲でしょう。
そこで、坪単価に注目すると、2は230万円、5は290万円、7は230万円だと確認できます。
この時の実勢価格は200万を超えて条件次第で数十万円の差があるということが分かります。
これが、同じ地域で坪100万円や坪200万円も差があれば、何か特別な事情があるか、公正ではない取引がされたということでしょう。
実際にリストの1では、駒沢大学駅から6分の土地が坪単価96万円で取引されています。
これは、この土地は袋地等という特別な事情が影響したと推測されます。
売り出し価格と査定価格も参考にする
取引例から求める実勢価格は、取引した事例が少ないと精度が低くなってしまいます。
そのため、同じ地域の売り物件を調べたり、無料の価格査定を利用して相場価格を把握する方法もあります。
先ほど参考にした世田谷区上馬に存在する、売り物件を調べてみました。
調べた売り物件は、駒沢大学駅から11分で坪264.5万円で売られていました。
少し高めですが、取引事例で求めた実勢価格(230~290万円)と大きく外れてはいません。
売り出し価格と取引例を比較するときは、取引例は過去の事例なので現在の実勢価格が正確に反映されているわけではないこと、売り出し価格は売主の希望になるので高めに設定されることを知っておきましょう。
この地域で実勢価格を求めると、やはり200万を超えて条件次第で数十万円の差と付くと考えておくのがいいでしょう。
さらに、不動産会社の査定価格は実際に依頼してみないと価格はわかりません。
査定価格はだいたい近い価格になるとはいえ、不動産会社によって異なる査定価格が出てくるので、もし高い査定価格が出たとしても実勢価格と離れていたら売れることはありません。
そこで、あらかじめ不動産会社ごとに査定価格の差があるのを考えて、複数社の査定額を比較できる一括査定のサイトもあります。
公示地価や基準地価は実勢価格と差がある
実勢価格の他に、国土交通省の公示地価や都道府県の基準地価は、公的な地価水準として土地の取引でも参考にされる地価となっています。
これは毎年1月1日時点の地価が公表されて、不動産鑑定士の鑑定評価を基礎としています。
しかし、土地には定価がありません。
売主が自由に価格を決めることが可能なので、互いに納得できる価格まで交渉して取引ができます。
この時の「納得できる価格」とは、公示地価のことではありません。
また、売主と買主との間で公正な取引になるほど、適正価格と公示地価は近くなっていくはずです。
それでも、公示地価と実勢価格は場合によって、大きく離れてくしまう事もあるでしょう。
取引によって価格は変動する
土地の取引をする場合、売主も買主も公示地価に基づいて取引価格を決定することは少ないと思います。
売主は「高く売りたい」、買主は「安く買いたい」のが普通で、売り急ぐ売主であれば価格を下げ、買い急ぐ買主なら価格を上げてでも買うでしょう。
この様に土地の価格は状況によって変化します。
そのため、実勢価格はすべての取引の平均という訳ではありません。
反対に、公示地価は不動産鑑定評価基準に基づいて算出されています。
そのため、取引例を使った手法でも、客観性を保つために特殊な事情は補正され、正常な補正ができないほどの取引例は除外されます。
したがって、どんな事例も含めて形成される実勢価格と、補正が入る公示地価では根本的な性質の違いがあります。
公示地価は実勢価格に比べて情報が遅れる
公示地価は毎年1月1日に更新されます。
それまでは翌年になるまで更新されません。
反対に、土地の実勢価格は常に変わります。
年初は公示地価が実際の取引価格に近くても、徐々に公示価格の情報は古くなるでしょう。
そのため、どうしても公示地価は実勢価格との差が出やすいです。
公示価格と実勢価格は実際にどのくらい差がある?
土地情報総合システムでは、周辺の公示地価も表示できます。
なので、取引事例から求めた実勢価格と公示地価の差を比べてみましょう。
取引事例のリスト画面で、各事例の左端にある「詳細表示」の列に番号が振られています。
今回は1番をクリックしてみます。
クリックすると、物件の詳細が表示されます。
この画面の下部は「周辺の地価公示」という欄があるので「表示」と書かれたリンクをクリックします。
すると、取引事例周辺の公示地価が表示されます。
この例では、3つ表示されており、583,000(円/m²)、525,000(円/m²)、534,000(円/m²)です。
価格は㎡単価なので先ほど説明した方法で坪単価にしてみましょう。
すると、それぞれ約192万円と約173万円と約176万円になります。
取引例と売り出し価格から求めた、200万円+数十万円(230万円程度)の実勢価格と比べて、いずれも公示地価のほうが相当低くなります。
公示地価は決められた標準地の価格なので、標準地周辺の土地は条件に合わせて増減する必要があります。
なぜこんなに差が出るのかと言うと、土地の価格を決める要素は無数にあるので、実勢価格と公示地価の価格差については絶対的な理由はないからです。
ここまで、不動産を査定する前に知っておきたい「路線価と実勢価格」について詳しく解説しました。
途中で公示価格についても少し触れましたがどうでしたでしょうか?
土地の価値を調べる方法はたくさんあります。
この中で自分の土地に合った方法を利用しながら賢く不動産を売却していってください。
ここまで理解できた方は、他にも査定方法と交渉術があるので下記の記事「投資物件を売却する前の基礎知識」も参考にしてみてください。