「相続した土地を売却するにはどうしたらいいの?」
「相続した土地を売却する時の費用は何がある?」
「相続した土地を売却する流れはどうなっているのかな?」
など、相続した不動産を売る時の流れや必要について詳しく知りたい方もいると思います。
そこで不動さんに、「相続した土地を売却する時の手続きや費用は?」「相続した土地の名義変更から売却までの流れを徹底解析」について詳しく解説してもらいましょう!
相続した土地を売却する時の手続きや費用は?
もし親族が亡くなった場合、相続権を持っている親族で財産を分ける「相続」が発生します。
ですが相続の対象となる財産は、現金や有価証券だけではありません。
土地や建物といった不動産も相続の対象となります。
もしかしたらあなたは「相続した不動産を使う予定がないけど、どうしよう?」と迷っていたりしませんか?
そこで相続した不動産を売却する時の手続きの流れと、必要になる費用を紹介していきましょう。
相続した土地を売却しない時のデメリット
相続した土地を所有し続ける場合、使用しないで管理するか、賃貸に出すという方法があると思います。
また「思い出がある家を手放したくない」と思うこともあるかもしれませんね。
ただし土地を所有し続けると、次のようなデメリットが発生します。
もしかしたら数年間迷ったまま所有を続けて、手放す決断をすることになるかもしれません。
不動産は放置するほど資産価値が低下するので、本当に持っておくべきなのかをよく検討して、手放す場合は早めに決断をしましょう。
固定資産税などの維持費が必要
固定資産税は、不動産を所有している人に課される税金です。
この固定資産税は評価額の1.4%を毎年支払う必要があります。
さらに電気や水道を引いている場合は、それらの基本料金も発生するでしょう。
また草刈りなどを依頼すると、その代金も必要です。
資産価値が年々下がっていく
土地に建物がある場合は、年数が経過していくと価値がどんどん下がっていきます。
さらに人が住まない状態の建物なら傷みやすくなり、資産価値の低下は深刻になるでしょう。
土地の管理が大変
不動産の資産価値を維持したいのであれば、通気や掃除、草刈りなどの管理をする必要があります。
自分では気にしてなくても、荒れた建物を放置していると苦情が入ることもあるでしょう。
賃貸にしたりする時に維持費がかかる
物件を賃貸に出せば、収入が得られるので固定資産税などの維持費をまかなうことが出来ます。
しかし賃貸物件経営は知識がないまま参入するのは危険でしょう。
なぜなら賃貸に出して入居がなければ、維持費の負担が大きくのしかかってくるからです。
土地を相続してから売却するまでの流れ
もしあなたが相続で取得した不動産を「売却しよう!」と決断した時は、次のような流れで手続きを進めていきましょう。
① 相続登記
② 査定依頼
③ 不動産業者の決定、媒介契約の締結
④ 売出価格の決定、売却活動開始
⑤ 購入希望者の内覧、交渉
⑥ 売買契約締結
⑦ 決済、引渡し
この時に通常と異なる手続きは、「相続登記」です。
相続登記はいつまでに行わなければならない、という期限が設けられていません。
しかしこの手続きが完了してからでないと売却できないので、売ろうと思っている場合は早めに手続きに取りかかりましょう。
手続き自体は自分で行ってもいいですし、弁護士や司法書士などの専門家に依頼することもできます。
あなたが「書類が苦手」「仕事が忙しいので、役所に行く時間がない」といった場合は、専門家へ依頼してみましょう。
土地を相続する時の費用
不動産を相続するには、「相続税」「相続登記時の費用」が必要です。
また相続税は、固定資産台帳や路線価などを元に算出した「固定資産税評価額」に対して課税されます。
税率は1.4%です。
相続登記の手続きを自分で行う場合は、以下の金額しかかかりません。
登記事項証明書代:1物件につき600円
戸籍、住民票、評価証明書取得代:数千円
登録免許税:固定資産税の1000分の4
なお弁護士や司法書士などの専門家に手続きを依頼すると、代行費用が発生します。
専門家によってサービス内容や費用が違うので、依頼先は比較してから決めるようにしましょう。
相続した土地を売却する時の費用
相続した不動産を売却する時にかかる費用は、通常の不動産売却で必要な費用と同じです。
この時に一番大きな費用は、不動産会社に支払う「仲介売却手数料」となります。
また売却時は売却益に対して「不動産譲渡所得税」という税金が必要です。
手数料率は法律によって、物件の費用に応じた上限が決まっています。
売買価格 | 仲介手数料 | 消費税8% |
---|---|---|
200万円までの部分 | 5% | 5.4% |
200万円を超えて400万円までの部分 | 4% | 4.32% |
400万円を超える部分 | 3% | 3.24% |
例:取引価格が1000万円の場合(消費税は8%で計算)
・ 200万円までの部分:200万円×5%=10万円、消費税8,000円
・ 400万円までの部分:200万円×4%=8万円、消費税6,400円
・ 500万円までの部分:600万円×3%=18万円、消費税14,400円
仲介手数料合計36万円、消費税合計28,800円
仲介手数料には速算式があり、400万円以上なら簡単です。
速算式
・ 仲介手数料=売却価格×3%+36万円
例で計算すると、1000万円×3%+6万円=30万円+6万円=36万円。
速算式による消費税は、消費税率により次の通りです。
・ 消費税8%:売却価格×0.24%+4,800円
こちらも例で計算すると、1000万円×0.24%+4,800円=28,800円と、正しく計算できることがわかります。
この金額が引かれることを考えていないと、「思った通りの金額で売れたのに、手数料でかなり引かれた!」と焦る可能性もあるかも知れません。
最初から計算に入れておきましょう。
相続財産譲渡で取得費の特例がある?
不動産を売却した時に譲渡所得(売却した時に利益)が出た場合は、譲渡所得に対して所得税を支払う必要があります。
譲渡所得とは、売却金額から取得費(購入代金や建築代金、購入手数料、設備費など)を引いて計算しましょう。
ただし相続で取得した物件には、「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」を適用することができます。
この制度は相続で取得した不動産を一定期間内に譲渡した場合、相続税のうち一定の金額を譲渡資産の取得費として計上できるという制度です。
しかし特例を受けるためには、次の要件を満たす必要があります。
・ 相続や遺贈で取得した財産である
・ 相続人に相続税が課税されている
・ 相続税の申告期限の翌日から3年を経過する日までに譲渡している
取得費に加算できる相続税額は、次の式で算出可能です。
・ 相続税額×譲渡対象財産の価額(相続税課税価格+債務控除額)
この特例を受けるためには、譲渡翌年の確定申告期間内に次の書類を添付して、確定申告書を管轄税務署に提出する必要があります。
・ 相続税の申告書の写し
・ 相続財産の取得費に加算される相続税の計算明細書
・ 譲渡所得の内訳書や株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書
など。
相続した土地の名義変更から売却までの流れを徹底解析
実際に土地を売却する時の流れを詳しく解説していきます。
どんな流れで進めて行けばいいのか確認しておきましょう。
家や土地、マンションなどの相続不動産売却までの流れは、このように進めます。
① 相続人で遺産分割協議
② 名義人を変更
③ 仲介業者に依頼
④ 売却
⑤ 確定申告・納税
相続人で遺産分割協議をする
相続人全員で協議をして合意書を作成しましょう。
一般的に遺産を相続する権利のある人を「相続人」といいます。
相続時は、まず誰が相続人なのかを確定して、その相続人同士で遺産の分配について協議をしましょう。
相続人全員の合意が必要になる
相続した不動産の取引を行うには、相続人全員が戸籍謄本と印鑑証明書を提出する必要があります。
もしひとりでも同意しない人がいると、手続きを進めることが出来ません。
遺産分割協議では何をしたらいいのか
遺産分割協議では、最終的に全員が合意したことを証明することが出来なければいけません。
その時に必要になるのが、「遺産分割協議書」です。
この遺産分割協議書を作成するには、必ず法定相続人全員が集まって協議をする必要があります。
家や土地、マンションなどをどうするのか、名義を誰に変更するのか、売却したお金はどうやって分けるかなどを決めて遺産分割協議書にまとめましょう。
遺産分割協議書の例文と作成例を紹介
「遺産分割協議書をどうやって作ったらいいのかわからない」なった場合のために、作成例を載せておきます。
用紙の大きさや書式に決まりはありません。
遺産分割協議書
被相続人の表示
・ 本籍
・ 最後の住所
・ 登記簿上の住所
・ 氏名
・ 生年月日
・ 相続開始の日
相続人の表示
・ 後記相続人署名欄記載のとおり
被相続人 木村太郎 の遺産について次のとおり分割する。
1 相続財産のうち、下記不動産は木村一郎(持分2分の1)及び木村二郎(持分2分の1)が相続する。
(一)所在
地番
地目
地積
持分
(二)所在
家屋番号
種類
構造
床面積
2 相続財産のうち、下記財産については木村二郎が相続する。
(一)○○銀行○○視点 普通預金
口座番号
総額 金○○○○○○円
(二)普通乗用車
車名
登録番号
車体番号
相続人等全員による遺産分割協議の結果、上記のとおり成立したのでこれを証するため本書を作成し、次に各自署名押印のうえ、各1通を保有するものとする。
なお、この協議書に記載されていない財産を分割する場合は、相続人全員において別途協議するものとする。
平成○○年○月○日
住所
氏名 実印
住所
氏名 実印
【捨印】
作成のポイント
・ 遺産分割協議書が数ページに渡って作られる時は、法定相続人全員の実印で契印します。
・ 相続人全員の捨印があるといいでしょう(少しの記入ミスでも訂正を求められることがあるため)。
・ 不動産は所在地ではなく、登記簿通りの表記で記載します。
・ 相続人の住所氏名は印鑑証明書の通りに記載して、必ず本人に署名してもらいましょう。
遺産の分割協議がまとまらない場合
相続人の意見が一致しないで分割協議が決裂してしまった場合、家庭裁判所に申し立てをしましょう。
そして調停をしますが、それでもまとまらない場合は審判に移行します。
そうなると協議終了までに数年以上かかる場合もあるでしょう。
もちろん協議が終わるまで土地や家は売却できません。
相続手続きは必要?
不動産を売却する時は、遺産分割協議書が必要です。
もし相続が発生した日から3ヵ月間何もしなかった場合は、すべての財産を法定相続分通りに相続したとみなされ、土地は相続人全員の共有財産となります。
共有財産は相続人がひとりで勝手に売却することはできなくなることです。
また基礎控除額を超えた相続については、相続税の対象となります。
名義人を変更する必要がある
まずは不動産名義を変更しましょう。
相続人全員が合意して遺産分割協議がまとまれば、相続した不動産の売却を進めることができます。
そして売却を行うためには、不動産名義を被相続人(故人)から相続人へ変更しましょう。
また今の名義が誰になっているかは、登記済権利証で確認可能です。
所有権移転登記を行う
不動産の名義変更することを、「所有権移転登記」といいます。
所有権移転登記の申請場所・方法・必要書類・費用
申請窓口 | 不動産所在地の法務局 |
---|---|
必要書類 | ・登記申請書 ・遺産分割協議書 ・相続人全員の印鑑証明書 ・固定資産税評価証明書 |
費用 | ・登録免許税(固定資産税評価額×0.4%) ・司法書士に依頼する場合、司法書士への報酬(4~6万円くらい) |
名義を遺産分割協議で決定した相続人に変更すると、その物件を売却できます。
兄弟など数名で不動産を相続した場合は、二人の共有名義にしましょう。
仲介会社に依頼をする
不動産の売却は不動産会社選びが1番大切でしょう。
相続人同士の協議がまとまって名義を変更した後は、相続した不動産は新名義人の自由にです。
また固定資産税は、名義人となった人が支払う必要があります。
そして不動産を売却するのであれば、まず仲介に入ってもらう不動産会社を探すことから始めましょう。
この不動産会社選び次第で売却価格が大きく変わる可能性があります。
場合によっては数百万円の差がつくことも珍しくありません。
よりいい不動産仲介会社を選ぶことが、不動産を売却する上で一番大切なことと言えるでしょう。
不動産仲介会社を賢く選ぶには?
売却を複数の不動産会社に相談した場合、会社によっては査定価格に大きく差がつくことがあります。
ただし1番高く査定してくれた仲介会社をそのまま選ぶのは、やめておいた方がいいでしょう。
なぜなら契約をして欲しいために、相場よりも査定額を高く提示するところもあるからです。
そのためいくつかの不動産会社から、信頼できる不動産会社を選びましょう。
物件を売り出す
不動産会社が決まると、物件の売り出しを開始します。
地方の土地などはいい値がなかなかつかないこともありますが、それでも維持費や税金のことを考えると持ち続けるよりはいいという考えが一般的です。
また田や畑の土地で、田畑のまま売却する場合は売却相手が農家に限られるといった制限などがあります。
どのように売却活動をしていくかは、経験豊富な不動産会社と相談しながら決めていきましょう。
確定申告と納税をする
家や土地、マンションを売却した時は、分離課税といって他の給与などの所得とは別に税金が必要です。
相続した不動産の税金が軽減される場合
相続した不動産を売却して、利益が出ると所得税と住民税の課税対象となります。
しかし条件を満たせば、税金は軽減されることも。
また相続後3年10ヵ月以内の売却は、税金が軽減されます。
相続した不動産を売却した時は「相続税の取得費加算の特例」があるので、支払った相続税の金額までの売却なら課税されません。
課税されるのは利益が出た時だけで、買ったときよりも安い値段で売却したときの税金はかからないのです。
利益がいくらになるのか知るのは、被相続人がいくらで土地を購入したのか証明できる書類が必要となります。
できれば生前に確認しておくといいですが、それが出来なかった場合もあるでしょう。
その場合は売却価格の5%が取得費となります。
税率は所有期間5年以下で39%、所有期間5年超で20%です。
ただし「所有期間」は相続した日からの期間ではなく、故人が該当土地を取得した日から数えた期間となります。
この記事のまとめ
ここまで相続した不動産を売却する流れや手順、かかってくる費用について詳しく解説してきました。
相続した不動産を売るには手間や時間がかかります。
少しでもその手間を減らしたいのであれば、不動産会社選びくらいはできれば簡単に進めたいのではないでしょうか?
そこでオススメできるのは不動産一括査定サイトです。
不動産一括査定サイトについて詳しくは、下記の「不動産一括査定サイトとは?」をご覧ください。